Install BBInfinite BB Module for BBRight to Cervelo S3

何かと多忙で掲載までに期間が空いてしまったが、これまでの記事エントリーで触れ、数あるBBRight対応BBモジュールの中から選択したBBInfinite社のBBRight対応モジュールを、2014/15モデルのCervelo S3フレームへインストールした時の状況について、今でも一定数BBRightやCerveloのキーワードで読みに来てくれる方が多いことに答えつつ、まだまだ日本語での事例も少ないこともあるかと思い、書いておきたい。

インストール作業の段取り

BB Module and Install Tools with Parktool HHP-2.
BB Module and Install Tools with Parktool HHP-2.
※なお、検索等でいきなりこの記事へ来られた方においては、モジュールそのものの説明は別記事になっているため、こちらを参照されたい。 また、非推奨となるが、HHPー2を使用しない可能性を探る”Dark Side”な記事に興味があれば、別途併せてお読みいただきたい。

まず、インストール前の工具とモジュールの向きや位置、順番関係については、最終的に上の写真のようになる。また、以下の作業に当たっては、

・BBモジュール本体とその付属工具SB-1/MD-1および付属Thread LockerであるBlue-Locker
・Parktool HHP-2
・脱脂用ケミカル(推奨品は後述する)
・使い捨ての薄手ニトリルゴムの手袋

等を用意して作業を行った。一部代用が効くものもあるが、とりわけニトリルゴム手袋については、脱脂した箇所への皮脂等再付着を防いだり、Thread Lockerの塗布作業がやりやすくなることに加え、BBInfiniteの公式インストラクションビデオでも使用していることからも、もしチャレンジするのであれば強く利用を推奨する。前述のインストラクションビデオはこちらからhttps://www.youtube.com/watch?v=DfGtZhqGPoc

以下、段取りだが、

・まずフレーム側BBシェルの内部とモジュール本体外周部に対して、99%のIPAなりWhite Lightning社のClean Streak等のケミカル類を使って脱脂をしておく

ことから始まる。ケミカルについてはBBInfinite社推奨の物を明記したが、濃度の高いIPAなら薬局等で購入できるし、White Lightning社のケミカル類は、日本国内ではピナレロやカンパ系パーツの代理店であるカワシマサイクルサプライが取り扱っていることから、さほど入手に困るほどではないと考えるが、同様の脱脂力があるものならそれでも代用はできると思う。なお、自分の使用したClean Streakの商品情報は以下から。http://www.riogrande.co.jp/news/node/2577

通常、BBモジュールインストール時においては、スレッド式は言うに及ばず、圧入式のものでも組み付け前に該当部分に対してグリスアップを行う方が多いことを考えると、ちょっとユニークである。とは言え、脱脂の主たる目的はモジュール固定の為の圧入にプラスしてスレッドロッカーを使う前提での接着・固定力の強化にあると思われる為、突飛なことをしているわけではない。

また、この時新品フレームならば、ついでにBBシェル内部の状態をよく観察しておいて、CFRP成形時の樹脂の仕上がりによる模様や筋の入り方を見ておき、クラックと見間違いの無い様にしておきたい。もちろん明らかにクラックなりその徴候なら、作業の前にやることがあろうかと思う。

脱脂が出来たら次に工具とモジュールの圧入準備だが、前述した様に、今回は推奨されているParktool社のヘッドワン圧入工具HHP-2を使う前提で説明する。まず、

・シャフトのネジ側に留まっている回転ハンドル(今後の作業におけるDS側)と、反対の六角柱(同じくNDS側)にロックされているスライド式プレスプレートを、それぞれシャフトから外す。※プレスプレートはロックレバーがあり、六角柱の随所に切られている溝にハマってロックされるようになっているので、レバーを押し(解除)ながら外す

・どちらも外れたら、本来の用途向け部品であるヘッドセット圧入用カップガイド2つも不要なので、こちらも取り去る

・次にBBInfiniteモジュールに付属していた樹脂製の工具MD-1を径の小さい方からシャフトのネジ側へ通してから、再度ハンドルを「浅め」にセット
※上記写真では撮影のためにハンドルをほぼいっぱいまでねじ込んでいるが、MD-1の内径(16.7mm)より六角柱側の径(約22mm相当)が大きい=それ以上は進まないことを前提にし、最初からハンドルをねじ込み過ぎない様注意

・MD-1の径の小さい側がモジュール本体NDS側(つばの広がった方)のベアリング穴に嵌まるような位置関係となるので、六角柱側からモジュール本体をHHP-2のシャフトに通す

・シャフトにハンドル→MD-1→モジュール本体で連なったものをフレームのNDS側からBBシェルに通す

・DS側に抜けてきたシャフトに対し、MD-1と同様に付属しているSB-1の筒が開いた方がフレーム側のBBシェルに一致して突っ張るような向きで軸に通す
※S3ではシェル外周部が無塗装で黒いのでそれに合わせる

・最後にプレスプレートを、ロックレバーを押したまま六角柱側に通していき、一定間隔で存在する溝の内、ロック可能な一番奥目の位置で固定し、反対側のハンドルを回してHHP-2全体の遊びを調整し、圧入を開始できる「ほぼ」遊びのない位置にセット

・再度、順番や位置・向きの関係、軸のズレやプレートのロック等でのミスが無いかを確認する。

以上が整ったら、モジュールが真っ直ぐ入るようにチェックしつつ、まずは手で押し入れられるところまでモジュールを挿入し、更にその分ハンドルを回して完全に遊びを無くす。その時の状態が下の画像の様な感じ。

ready to install.
ready to install.

圧入開始(注意事項あり)

ここからいよいよ圧入本番となる。これ以降、使い古された言葉ではあるが、慎重かつ大胆にということで、淡々と軸をズラさないよう注意しながらハンドルを回して圧入していく。ただし、全部一気に圧入してはならない。ここで再度モジュール本体を見てみる。

compare_BBInfinite_and_cervelo_fsa_shell
compare Two BB set, BBinfinite Module and FSA B3155.
上記写真はモジュール紹介時に掲載したものだが、モジュール本体のシェイプをよく見ると、上下に非テーパー部分があることが分かる。実際にBBシェル内部と接触する部分がここになるわけだが、同時にこの非テーパー部分にモジュール付属の青いスレッドロッカー、通称Blue Lockerを塗布して固定を補助することになる。

よって、これらの部分への塗布作業を圧入作業途中で行うことを前提とし、

圧入作業は、NDS側から見て非テーパー部分が隠れ始める手前までモジュールが入ったら一時止め

にしてBlue-Lockerの塗布作業に移る。その時の圧入残りはこんな感じだが、もう少し手前で止めても良いかと思う。

Press Stop Position Before Use Blue-Locker.
Press Stop Position Before Use Blue-Locker.
この時のDS側の残り具合はこんな感じ。撮影及び塗布作業の為に一時的にSB-1とプレスプレートを外した状態。

View from Drive Side Before Use Blue-Locker.
View from Drive Side Before Use Blue-Locker.
これを踏まえ、

・NDS側のまだ入っていないモジュール本体の非テーパー部分と、DS側から見えるBBシェルの内周部未圧入部分(=これからもう片方の非テーパー部が接する場所。上の写真のシェル内部の黒い部分)の2箇所に対してBlue-Lockerの塗布作業を行う。

Blue-Lockerは粘度が低めでオイルのように伸ばすことが出来るため、対象箇所にグルっとまんべんなく塗る。この時やはりニトリルゴム手袋による指先での塗布が著しく楽である。そして塗布が終わったら、速乾性ではないので慌てずに再度外した工具を再セットして、圧入作業を再開する。

この際パキパキと、突っ張ってるような感じの音が鳴ったりもするが、これ以降残りの部分が寸法的に狭いわけではないし、Blue-Lockerがシェルとモジュールの間に広がり、よりきっちり入っていく故と考え作業を完遂させていく。どうせこの段階に至れば、今更後には引けないタイミングでもある。淡々と進めた結果、以下のように完了した。

Just Installed.
Just Installed.
圧入完了の図。NDS側のツバ部分がBBシェル外周部にピッタリ密着するまで圧入した直後の状態。この後ベアリングのダストカバーとなるアルミリングにグリスを薄く塗り、両サイドに被せれば出来上がり。

Finish.
Finish.

雑感と実際の回転動画

今回はフレームの色と同じ赤系の仕上げのモジュールであるが故、非常に綺麗にまとまった感じとなった。クランクが入るとほぼ目にすることがなくなる見栄えだし、重要な回転部品ということを考えれば性能優先ではあるが、予想していたよりキレイな見た目で、例えるなら着心地の良いジャケットやコートの裏地を普段人に見せることはないが、実は小洒落た色や柄の生地や美しい飾り刺繍があることで、更にその輝きが増すのにも似ていて、ちょっと気持ちいい。

2016年2月追記:一応組み付け後、無負荷状態でどのぐらい回るのかの参考動画を用意した。パワーメーター非搭載クランクに比べて、回転部にバランス的な偏りがあるであろうことや、メンテナンススタンドへの固定はイマイチなこと、ウェーブワッシャー側のスペーサー数等をシビアに追い込んでいないこと等の要因でBBInfinite公式ほどは回っていないが、手回しの実感としては非常にスムーズであるし、実際のペダリングでは尚の事軽いのは確かである。興味があれば以下のリンクから。

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